「よくネット証券をすすめられるけど、投資初心者が使っても大丈夫なんだろうか?」
ネット証券は、株だけでなく投資信託などいろいろな金融商品をネット上で購入できるところです。最近よく耳にする「つみたてNISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ)」にも対応しています。
ネット証券をうまく活用すれば、将来や老後に備えた資産形成に役立てることができるでしょう。そこで、本記事では「そもそもネット証券とはどんな証券会社なのか?」を分かりやすく解説しています。
また、
- ネット証券でできること
- ネット証券のメリットデメリット
- ネット証券で初心者が安心して投資を始められる方法
なども分かります。最後まで、お読みいただければ「ネット証券を使って資産運用をするイメージ」を持てるようになりますよ。
ネット証券とは?店舗型証券会社との違いやネット証券でできることをわかりやすく解説
ネット証券は、ネット上で株の売買ができたり、入出金ができたりする証券会社です。株式売買するときの手数料が固定制でしたが、1999年に手数料が自由化されました。これでネット証券が一気に広まりました。
さらに、2000年代に入ると新規参入した楽天証券やマネックス証券、SBI証券などが大きくシェアを伸ばすようになってきました。インターネットの証券口座数も右肩上がりです。日本証券業協会の調査によれば、2022年3月末時点で3800万口座を超えています。
ネット証券の特徴
ネット証券は自宅にいながら株や債券など金融商品の取引が可能です。もちろん、証券口座開設もネットだけで完結できます。ネットにつながったパソコンで操作するのが主流でしたが、近年はスマホやタブレットだけでも操作できるようになっています。
また、ネット証券は手数料が安いのも魅力です。10万円以下の株式の購入で、手数料が100円もかからないネット証券も珍しくありません。取引コストを大きく削減できるのは、投資初心者だけでなく、プロのトレーダーにとってもありがたい特徴といえるでしょう。
さらに、ネット証券によっては「ポイント投資」ができるのも特徴です。楽天ポイントやTポイントを使って投資ができるので、いきなりお金を使うのは不安だと思う投資初心者は利用しやすいです。
ネット証券と店舗型証券会社との違い
ネット証券が登場するまでは、証券会社の窓口へ行ったり、電話をしたりして取引するのが一般的でした。現在でも、店舗で取引できる証券会社はありますが、ネット証券とは大きな違いがあります。
店舗型証券会社は、手数料がネット証券よりも高いです。1回あたりの取引の手数料は最低でも2,000円以上かかります。対面や電話で人件費がかかっていることが、手数料が高い要因です。
店舗型証券会社は担当者がつきます。ネット証券では基本的にすべて自分自身で操作しなければなりません。担当者から、投資に関する情報やアドバイスを受けられるのは、店舗型証券会社のメリットです。
手数料が高くても、担当者のサポートを得ながら投資をしたい人には、店舗型証券会社が向いています。
ネット証券でできること
ネット証券では株の売買だけでなく、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)も取り扱っています。また、購入できる商品は
- 投資信託
- 外国株(米国株や中国株など)
- 債権(国内・海外)
- 先物・オプション
- FX(外国為替保証金取引)
など幅広いです。
さらに、損益の計算をしてくれたり、投資に必要な情報提供サービスもあります。「源泉徴収ありの特定口座」を選択すれば、税に関する手続きもしてくれるので、確定申告の必要がありません。
ネット証券とは?魅力的なメリットが多く初心者でも始めやすい
ここでは、ネット証券のメリットを紹介します。
手数料が安い
ネット証券では取引の手数料が安いです。取引コストを抑えられるので、利益を出しやすくなります。主なネット証券の取引額ごとの手数料(税込・1約定あたり)は表の通りです。
証券会社名 | ~10万円 | ~50万円 | ~100万円 |
SBIネオトレード証券 | 88円 | 198円 | 374円 |
GMOクリック証券 | 90円 | 260円 | 460円 |
マネックス証券 | 55円~99円 | 275円 | 535円 |
楽天証券 SBI証券 auカブコム証券 LINE証券 | 99円 | 275円 | 535円 |
対して、証券会社の店頭や電話による取引の手数料は次の表のようになります。
証券会社 | 手数料(税込) |
SMBC日興証券 | 2,337円~ |
野村証券 | 2,860円~ |
大和証券 | 2,750円~ |
証券会社の店頭や電話で取引するよりも、ネット証券の方がかなり手数料が安いことが分かります。
自分のペースで投資ができる
ネットに接続できる環境であれば、取引する場所は関係ありません。取引する時間も選べます。だから、自分の好きな場所や時間を見つけて投資ができるのです。
通常、株の取引は証券取引所が開いている時間帯です。15時には閉まってしまうため、会社員では取引できないことが多いです。しかし、夕方や夜間に取引可能な「夜間取引」を利用すれば、仕事から帰って来て株を売ったり買ったりできます。
夜間取引ができるネット証券証券会社 | 夜間取引ができる時間帯 |
SBI証券 | 16:30~23:59 |
楽天証券 | 17:00~23:59 |
松井証券 | 17:30~23:59 |
夜間取引ができるのは一部のネット証券ですが、取引時間が長いのは大きなメリットです。
安心のバックアップ体制
ネット証券は、店舗型証券会社のように一人一人に担当者は付きませんが、メールや電話によるサポートがあります。もし、「取引画面の使い方がよく分からない」「税金の申告はどうしたらいい」など疑問点があれば、すぐに解決できるバックアップ体制があります。
例えば、松井証券では専用フォームで24時間受付しています。また、お客様とのPCの画面を共有しながらリモートサポートもあるので安心です。
SBI証券ではチャットサポートの他に、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「NISA・投信土日専用デスク」「ツール・アプリの操作設定」などそれぞれに専用の電話窓口を用意しています。
このようにネット証券ではお客様がこまらないように、オンラインや電話でサポートできる仕組みを整えています。「すべてを自分で何とかしなければならない」というわけではありません。
投資に関する最新情報がするに手に入る
ネット証券では投資のヒントとなる情報も手に入りやすいです。ネット証券がどのような情報を提供しているかという事例は、以下の通りです。
野村証券 | 有名アナリストのマーケット解説動画を配信 「週刊野村市場展望」や「銘柄ピックアップ」などのアナリストレポート |
大和証券 | 投資初心者に向け無料セミナーや講演会がある 人気上位のアナリストの投資情報を閲覧できる |
マネックス証券 | 「銘柄スカウター」でアナリストによる業績予想や企業情報を閲覧可能 米国株や中国株の情報提供も積極的 |
楽天証券 | 日系テレコン21・会社四季報・バロンズ・ダイジェストが見放題 楽天証券の投資情報メディア「トウシル」による情報提供 |
SBI証券 | 四季報やトムソン・ロイターなどのコンテンツが充実 |
有料級の情報を無料で見られるのもネット証券のメリットです。上手に活用することで安定した資産運用につなげられるでしょう。
キャンペーンでお得に始められる
口座開設キャンペーンで、キャッシュバックや手数料無料などお得に始められるネット証券も多いです。主なネット証券のキャンペーンの例(※期間限定で終了している場合もあり)をまとめるとこのようになります。
SBI証券 | 現金1,000円 手数料キャッシュバック |
楽天証券 | 現金1,000円 手数料キャッシュバック |
LINE証券 | 最大4,000円プレゼント |
マネックス証券 | 手数料キャッシュバック ポイント |
松井証券 | 手数料を最大5,000円までキャッシュバック |
岡三オンライン証券 | 信用取引手数料最大3カ月全額キャッシュバック |
SMBC日興証券 | ANAマイル |
キャンペーンの条件や期間は確認必須ですが、あなたが口座開設するときに利用できるキャンペーンがないかを調べてみてください。
ネット証券とは?デメリットや注意点を事前に知って投資のリスクを抑えよう
ここではネット証券のデメリットを解説します。
間違って注文してしまう
パソコンやスマホで操作するため、数値入力を間違って注文してしまう恐れがあります。100株購入予定を1桁誤って1,000株としてしまうと、購入資金は10倍になってしまい大変です。
店頭であれば間違いを指摘されることもありますが、ネットでの操作に慣れるまでは慎重に注文をしましょう。もし、間違って注文しても自己責任となり、取り消すことはできません。
万全なセキュリティ対策が必要
ネットによる取引になるため、ログイン用のIDやパスワードの管理は厳重にしなければなりません。パスワードを盗まれたりすると悪用されてしまう可能性が高いです。より信頼できるセキュリティソフトを使うなど対策をしましょう。
また、快適な通信回線の確保も大切です。ネットが混み合う時間帯に取引をしてしまって、思うように操作できずに購入のタイミングを逃す事態も考えられます。
自分で考えて投資しなければならない
ネット証券では、担当者がいないため、個別にアドバイスを聞いたりできません。ネット証券でも、投資の情報は提供してくれますが、プロの担当者に相談できないのは不安です。そのため、日頃から書籍やネット証券のセミナーで勉強することがより重要になってきます。
ネット証券とは?初心者でも安心して始められる方法を紹介
ネット証券は手数料やキャンペーンなど初心者でも始めやすいです。また、投資のリスクを抑えることもできます。そこで、投資初心者がどのようにすれば、ネット証券を上手に使えるのかを解説します。
ネット証券の始め方は簡単
ネット証券を始める一般的な手順は以下の通りです。
- ネット証券のトップページにアクセス
- 「口座開設はこちら」などと書かれた部分(ボタン)へ
- 移動したページに必要情報(名前、生年月日、住所、電話番号など)を入力
- 本人確認書類の提出
- 口座開設完了の通知が届く
- 初期設定
- 取引開始
本人確認書類は、マイナンバーカードや運転免許証などをスマホで撮影して提出可能です。オンラインで申し込みすれば、口座開設を行った日から最短1日で投資家デビューできるネット証券もあります。
ちなみに、申し込み当日から取引開始できるネット証券には
- 松井証券
- DMM.com証券「DMM株」
- SMBC日興証券
があります。ただし、スムーズに申し込み出来た場合です。当日から取引できる条件があるので、注意してください。
ネット証券を始めるのに必要なもの
ネット証券の口座開設をするときは、以下のものを準備してください。
- マイナンバー(個人番号)を確認できるもの
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、年金手帳など)
- 金融機関の口座番号
- メールアドレス
など
他に必要なものはネット証券により多少違いがありますが、上記の4つは必須です。
ミニ株で少額投資できる
投資初心者は、リスクを抑えるために少額取引から始めるようにしましょう。そこで、おすすめなのが、1株単位で購入できるミニ株投資です。1株単位でなので購入しやすいし、いろいろな会社の株を同時に購入することができます。
1株から買えるネット証券の例
- マネックス証券:ワン株
- SMBC日興証券:キンカブ
- CONNECT:ひな株
- SBI証券:S株
- auカブコム:プチ株
- 野村証券:まめ株
- 岡三オンライン
- LINE証券
基本的に株式の購入は100株単位で行います。例えば、1株10,000円でも、100株では100万円を投資資金として用意しなければなりません。これでは、投資金額も増え、初心者にとってはリスクが大きいです。
少ない金額で始めれば、仮に損をしてもダメージは少ないです。複数の会社の株を持つことで、いろいろな株の値動きを知ることができます。投資に慣れるまでの勉強としても最適です。
初心者向けの株式講座
ネット証券による初心者に向けのセミナーや株式講座を活用することで、投資の判断能力も上がっていきます。例えば、楽天証券では「目的・趣向にあった資産づくりをサポート」するコンテンツがあり、あなたに合った投資手法やペースで投資を始められます。
また、松井証券には投資初心者のためのQ&A集も便利です。預貯金と株式投資の違いなど基本中の基本から分かるようになっています。「こんな簡単なことなかなか聞けない」という疑問にも答えてくれるので、利用しやすいです。
この他、SMBC日興証券のネットセミナーもおすすめです。株式関連商品の魅力が分かり、投資の幅を広げられます。一歩進んだ株式投資として「テクニカルチャート活用術」なども学べます。
初心者向けのコンテンツは、口座開設していないネット証券でも無料で学習できるものがほとんどです。役立ちそうなコンテンツを見つけて、知識を積み上げていってください。
初心者でも使いやすいツール
ネット証券のデメリットとして間違い注文があることを指摘しましたが、ツールを使うことで間違いのリスクを抑えることもできます。一例をあげるとすれば、LINE証券です。画面がシンプルなデザインなので初心者でも間違いを防ぎやすくなっています。
他に、楽天証券の「MARKETSPEEDⅡ」も人気です。銘柄や相場状況など情報収集から注文まで1画面でできる手軽さがあります。しかも、無料で使い放題なのもありがたいところです。
ツールの選択は、個人的な好みや投資の目的によっても違ってきます。候補となるネット証券を見つけたら、ツールがあなたに合いそうかどうかもしっかりとチェックしてください。
ネット証券とは?初心者からプロまで快適に資産運用ができるのでおすすめ!
ネット証券は投資をするうえで欠かせないツールです。「投資には興味あるけど、何から始めていいか分からない」というときは、ネット証券で解説している初心者向けのコラムを読んでみるのもおすすめです。
「ネット証券で具体的に何ができて、投資初心者でも安心して利用できるのか?」ということもイメージできるようになります。そして、お気に入りのネット証券を見つけたら、キャンペーンでお得に始められないかを確認しましょう。
手始めに、ネット証券で口座開設をして、勉強しながら投資に慣れていくのもいいのではないでしょうか?投資のプロになるのもネット証券の口座開設が第一歩ですよ。